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心に残った映画や読書の記録。日々の備忘録のようなモノ。【ブログ管理人:小夏】


by 小夏
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「マシアス・ギリの失脚」 池澤夏樹 著


「わからないね。
自分たちの記憶にあるもののどこまでが想像の産物で、
どこからが現実なのか」



c0046869_2059218.jpg最近の池澤夏樹氏の功績でまず思い浮かぶのは、河出書房版「世界文学全集」を個人編集したことだろう。
私も、その中から数冊チョイスして読んだが、肝心のご本人の小説を一冊も読んでいないことに思い至り(エッセイは2冊既読)、今回、年末年始の長期休暇を利用して読んでみることにした。
単行本で全535頁、重さもずっしり。
正直、「詰み」そうな予感も無きにしも非ずだったが、予想に反してあっという間に読み終えてしまった。

さて、マシアス・ギリはなぜ失脚するに至ったか。

あらすじの印象から「バス失踪事件に始まる大統領の失脚ストーリー」と思って読み始めたら、意思を持つバスとか、主人公の心の友が亡霊とか、初っ端から「ありえねー!」な展開目白押し。予想外の寓話的切り口に、正直、最初は戸惑った。
けれど、「その世界ではそれが普通なのだ」と受け入れてからは、自然にその不可思議ワールドに浸ることができた。寓話的ではあっても荒唐無稽というわけではない。古い風習や迷信、言霊思想が根付くお国柄の日本人なら、それほど違和感なく読めるのではないかと思う。
何にせよ面白いことに変わりはないのだ。
久しぶりに美しい「ものがたり」を堪能させてもらった。
お腹いっぱい、胸いっぱいである。

内容(「BOOK」データベースより)
南洋の島国ナビダード民主共和国。
日本とのパイプを背景に大統領に上りつめ、政敵もないマシアス・ギリはすべてを掌中に収めたかにみえた。日本からの慰霊団47人を乗せたバスが忽然と消えるまでは…。
善良な島民たちの間でとびかう噂、おしゃべりな亡霊、妖しい高級娼館、巫女の霊力。それらを超える大きな何かが大統領を呑み込む。豊かな物語空間を紡ぎだす傑作長編。
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by marienkind | 2013-01-09 16:26 | 書評