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心に残った映画や読書の記録。日々の備忘録のようなモノ。【ブログ管理人:小夏】


by 小夏
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「風立ちぬ」 (2013年 日本)


「風立ちぬ」における喫煙論議が、作品評価を押しのけて炎上中のようだ。
どうやら、日本禁煙学会までもが介入してきて「喫煙シーン多すぎ!肺結核の妻の前での喫煙なんてとんでもない!心理描写が目的ならタバコ以外の方法で表現可能じゃないの!?」との主張を繰り広げているらしいのですが、さてさて? 

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個人的には、それほど気になるレベルではなかったかな。
喫煙が今ほどタブー視されていなかった時代の話だし、許容範囲も人それぞれだろうと思うしね。
ただ、「喫煙」の是非にばかり話題が集中して、肝心な作品の評価とか、演出上の必要性とかが議論からすっぽり抜け落ちているのは何か微妙に違うというか、「そこまでタバコを悪の象徴の如く叩かなくとも・・・」と個人的にモヤモヤ。
そんな中、評論家の岡田斗司夫氏がなかなか的を射た主人公語りをしていたので、一部引用しておきます。

「二郎は美しいものにしか興味がない。発注した飛行機の部品が二郎に届く場面がありますが、実は部品を包んでいるのが日中戦争拡大を伝える新聞なんです。でも二郎は目もくれずガッと包みを開いて部品に見入る。こうした犠牲の上に部品が作られていることには思いをはせない。戦争の現実に関心がないんです。」

これは、私も鑑賞中にずばり感じたことだった。
二郎の柔和な風貌から、勝手に爽やかな好青年というイメージを抱いていた私にとって、これが『風立ちぬ』を観て最初に感じた違和感というか。あれ?二郎ってけっこう嫌なヤツ?想像していたのとちょっと違うぞ、というね。
ラストで二郎が、「(零戦は)一機も帰って来ませんでした。」と呟くシーンもまた同じ。
「一人」ではなく「一機」と言い切るその言葉の中に、特攻で命を散らしていった者たちへの悼みや悲しみを見ることはない。あったとしても、それを彼から感じ取ることはできなかった。
そう考えると、二郎という人物を手っ取り早く表現する術として「タバコ」は実に効果的な小道具だったのではあるまいか。
タバコ以外で表現可能?いやいや、そこはやっぱり悪の象徴タバコ(笑)っきゃないでしょう。

とはいえ、これはジブリ作品なのだ。夏休み娯楽映画なのである。
普通なら、「やっぱりまずいよねー」になりそうなところ、その辺は承知しつつも意図的にやっているようなところがあるからね、最近の宮崎監督は。観る側の賛同など求めていないスタンス丸見えというか。
ただ今回の騒動も、映画観た人がネット上であーだこーだ言っているだけならまだいいけど、「日本禁煙学会」の要望書、それに対する「喫煙文化研究会」の反論に至っては、もはや子供のケンカなのでいい加減やめて欲しい。
便乗して騒いでいるようにしか見えないので、他所でやってくれと言いたい。
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by marienkind | 2013-08-26 20:38 | 映画評