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心に残った映画や読書の記録。日々の備忘録のようなモノ。【ブログ管理人:小夏】


by 小夏
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スカイ・クロラ


c0046869_1344981.jpgThe Sky Crawlers
著者:森 博嗣
出版社:中央公論新社


   僕はまだ子供で、
   ときどき、
   右手が人を殺す。
   その代わり、
   誰かの右手が、
   僕を殺してくれるだろう。



ブログ友だちのボー・BJ・ジングルズさんの記事で紹介されていて面白そうだったので、早速読んでみました。(とは言え、読んだのはずいぶん前のことですが。)

うーん、これカテゴリ的には一応「近未来SFファンタジー」になるのかなぁ。
何せ最初から最後まで謎、謎、謎だらけ。私たちに提供される情報と言ったら、主人公のカンナミ・ユーヒチが戦争に駆り出される戦闘機パイロットであること、そして前線基地に配属された彼がひたすら戦闘を義務づけられていることくらい。
時代背景も謎なら舞台設定も謎、カンナミが所属する組織とは?彼が戦う敵対勢力とは?そして、物語最大の謎カンナミ・ユーヒチとは何者なのか?
もちろん、幾つかの事象は終盤で明らかになります。でも、それ以上に多くの謎がほとんど残されたまま物語は完結しちゃうのだ。なんつーこと!
フツーの私だったら、「なんじゃこりゃ!?」と怒り心頭、ブチ切れそうなものですが、そこんところが森マジックです。ネタばらしのサジ加減がとにかく絶妙で引き際が鮮やか。悲しい結末ながら不思議と清々しい読後感に、次回作『ナ・バ・テア』(どうやらシリーズ作品らしい)への興味が深まったことは言うまでもないでしょう。

さて、『スカイ・クロラ』を始めとするこのシリーズ、ご周知の通り、森博嗣従来の傾向とはジャンルの異なる新境地ってヤツなのですが、実は森ミステリファンを自称する小夏の勝手な偏見でスルーしていた作品だったのです。
が、一読してみて、相変わらず透明感のある文章、読者に媚びない独特の文体、そして何より、非ミステリ作品ながらラストに向かって一気に物語が収束していく明快さは、かつての(←ここ大事)森ミステリそのものじゃないか!ということに改めて気づいた次第。
いや~、「森博嗣はミステリじゃないとイカン」の先入観(私だけ?)は早々に捨て去るべきを痛感した一冊、これには目からウロコでしたわ。少なくとも、最近久々に読んだ彼のミステリ作品『Φ(ファイ)は壊れたね』よりは全然イケてたと思うぞ。
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by marienkind | 2005-11-04 21:04 | 書評