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心に残った映画や読書の記録。日々の備忘録のようなモノ。【ブログ管理人:小夏】


by 小夏
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白夜行


c0046869_1281978.jpg白夜行

著者: 東野圭吾
出版: 集英社文庫


【STORY】
1973年、大阪の廃ビルで男の刺殺体が発見される。
捜査の結果、男の身元は質屋「きりはら」の主人と判明するが、その後、浮上した容疑者が死亡、被害者と最後に会っていたと思われる未亡人もガス中毒死と不審な死を遂げ、事件は実質上迷宮入りになってしまう。
本書は、事件当時小学生だった被害者の息子「亮司」と未亡人の娘「雪穂」のその後20年に渡る物語である。


今、『白夜行』がバカ売れしててどこの書店でも品薄状態らしいですね。
『容疑者Xの献身』が直木賞受賞、『白夜行』がドラマ化と、何だか狙ったかのようなタイミングですけど多分気のせいでしょう(笑)。とにかくこの勢いはすごい。
Amazonのトップセラーなんて、ほぼ「東野圭吾」で占められていましたよ。
普段の私だったら、まずこのタイミングで読むことはないと思います。
でも、今回ばかりは別なのだ。仲良しブロガーの紅玉さんがめちゃめちゃ絶賛していたし、それ以上に彼女の記事に強く刺激を受けてしまったのです。
読む前は、正直なところ「そんなに面白いのかい?」という疑問が全くなかったわけじゃないんですよ。しかし、案の定一度読み始めたらページを捲る手が止まらない。
結局、完徹に近い状態で読み倒してしまいました。
総評:★★★★☆4.5点(限りなく満点に近い4.5点)

東野圭吾は、常に新しい小説スタイルに果敢にチャレンジし、ときにユーモアたっぷりの切り口で楽しませてくれるお気に入りの作家です。
しかし、今回ほど一風変わった作品も珍しいのではないかしら。
特筆すべきは、本書が主人公二人の内面描写を一切省き、その行動だけを追う展開に徹している点でしょう。物語を構成するエピソードもひどく断片的で、主人公を取り巻く第三者視点で淡々と綴られるのみ。亮司と雪穂の接点も、劇中明示的に語られることはありません。しかし、物語が進むにつれてバラバラだったパズルの断片が繋がり始め、やがてひとつの輪郭が浮かび上がってくるんですよ。(結果的に、パズルの絵そのものは未完成のまま終わるんですけどね←ネタバレ?)
くぅーーー! この見事なまでの構成力と言ったら!文句なし!さすがの巧さです。過去読んだ東野作品が、かなりの確率で「期待ハズレで賞」だったなんてことは、この際忘れることに致しましょう。ええ、忘れますとも。

ちなみに、タイトルの『白夜行』とは主人公の人生(心?)を表したものです。
――太陽の下を歩きたかった――と呟いた亮司。
――私には太陽などなかった――と語った雪穂。
この言葉で、わたしは亮司という男が一気に好きになったけど、同時に雪穂への気持ちも決定的になってしまいました。わかったような口をきくつもりは毛頭ありませんが、この世には、やっぱり許せないことってあると思うのよ、雪穂さん。
・・・・ごめんなさい。告白めいた心の叫びでした。
(2006年1月22日読了)
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by marienkind | 2006-01-28 22:16 | 書評