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心に残った映画や読書の記録。日々の備忘録のようなモノ。【ブログ管理人:小夏】


by 小夏
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ミュンヘン (2005年、米)


c0046869_9405724.jpgMUNICH
監督: スティーヴン・スピルバーグ
出演: エリック・バナ     
    ダニエル・クレイグ     
    キアラン・ハインズ     
    マチュー・カソヴィッツ     
    ハンス・ジシュラー     
    ジェフリー・ラッシュ     
    アイェレット・ゾラー     
    ギラ・アルマゴール     
    ミシェル・ロンズデール     
    マチュー・アマルリック



原作が諜報機関モサド元暗殺メンバーの告白を基にしたノンフィクションってことで、「実録」っぽい映画なのかしら?ちょっと苦手かも~と思っていたのですが、予想外にヒューマンドラマ色豊かな作品でした。とは言っても、安っぽいキャッチコピーにあるような“感動超大作!”ってノリとも全然違うんですけどね。
総評:★★★★4.0点

舞台は、1972年のミュンヘン五輪。
オリンピック開催中にイスラエル選手団がパレスチナテロ集団「黒い9月(ブラック・セプテンバー)」に襲撃され人質11人全員が死亡するという惨劇が起こる。
その報復として、イスラエル政府は犠牲者数と同じ11名のパレスチナ幹部の暗殺を計画、諜報機関モサドの精鋭5人からなる暗殺チームを組織する。
映画では、歴史の裏に隠されていた暗殺の実態とそれに伴う暗殺メンバーの苦悩が描かれています。

今回ばかりは、スピルバーグお得意の役者陣(え~っと、トム・ハンクスとか・・・?)を持ってこなくて大正解だったと思う。彼らがどうこうってよりも、エリック・バナが文句なしに良かったので。いえいえ、至って大真面目な話しですよ。
とにかく、見事な熱演でした。
実に平凡な家庭人だった主人公アヴナーが、愛国心と使命感から淡々と任務を遂行していく姿、そして、次第に「報復」が愚行であることに気づき苦悩する下りでは、誰もが心を痛めたのではないでしょうか。いかにも実直そうなエリック・バナは、アヴナー役にドンピシャでしたね。
さらに脇を固める俳優陣も魅力のひとつでしょう。
個人的には情報屋ルイを演じたマチュー・アマルリックが非常に印象的でした。一度見たら忘れられない超個性的なお顔立ちは、ちょっと癖になりそうだわ(笑)。
ジェフリー・ラッシュはさすがの七変化俳優ですね。モサド諜報管理官のエフライムを演じていたのが彼だと終盤まで気づかなかったくらいですから。
渋さ抜群だったのは、後処理係カールを演じたキアラン・ハインズ。マチュー・カソヴィッツの役どころもなかなか面白かった。6代目ジェームズ・ボンド、もといスティーヴ役のダニエル・クレイグは冷徹そうな淡い瞳がナイスですわね。

c0046869_9411210.jpg

イスラエル・パレスチナ問題の根源は、究極的には旧約聖書まで遡る根深いもの。「カナンの地(パレスチナ)は神がイスラエルの民に与えた約束の地」でしたっけ?(かなりうろ覚えでスミマセン・・・)
本作に関しても、国家情勢等の問題から思うようにプロモーションが出来なかったと聞き及んでますし、撮影も極めて短期間で秘密裏に進められたとか。
まあ、テーマがテーマですから反響が大きいのは当然のことと思いますが、イスラエル・パレスチナどちらか一方に偏ることなく、両者を徹底的に突き放した視点で描き切ったスピルバーグの姿勢は評価したいです。何よりも、自身もユダヤ系であるスピルバーグその人が、タブー視されているこの問題に真摯に取り組んだことに大きな意味があると思うのです。

この映画を観て、陰惨極まりない描写に不快な感情を抱く方が多いかもしれません。30年経った今も繰り返されている報復の連鎖に暗澹たる気持ちに陥るかもしれません。だけど何かを感じただけでもいいのではないか。少なくとも、知ることを放棄して無関心でいるよりずっといいのではないか。
  「報復を繰り返していても何も解決しない!
   こんなことの先に平和なんてあるわけない!」

ラストシーンでアヴナーの言い放ったセリフが虚しく胸に突き刺さります。
果たしてこの先、彼の心に平安が訪れることはあるのだろうか・・・。
ふとそんなことに思いを馳せながら映画館を後にしました。
(2006.2.24 劇場鑑賞)

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by marienkind | 2006-03-01 10:26 | 映画評