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心に残った映画や読書の記録。日々の備忘録のようなモノ。【ブログ管理人:小夏】


by 小夏
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イン・ザ・プール


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イン・ザ・プール

著者:奥田英朗
出版:文春文庫



本書は、精神科医・伊良部一郎と彼を取り巻く悩める者たちの姿を綴った、全5話からなる連作短編集です。主人公が「精神科医」というだけあって、主題は現代人が抱えるストレスや心の悩み、これらをユーモアたっぷりに描き出しています。
・・・・と、ここまではいかにも現代を反映した良作っぽい紹介文のようですが、いやはや、その描き方たるや半端じゃなく強烈でした。どう強烈かというと、本書の主人公伊良部一郎、こいつが世にも珍しいトンデモ医者だったのだ。
まず、その設定からしてフツーじゃない。色白デブでフケが浮き出るボサボサ髪、意味なく注射を打ちたがる注射フェチ、極めつけは異常なまでのマザコン男ときた。
雑誌ananのアンケートを実施したら、間違いなく「抱かれたくない男」のナンバーワンに君臨するようなヤツです。ええ、ぶっちゃけキモイです。

そして、一方の患者たちも、これまた奇妙な症状を抱えています。
ストレスから「内臓が学級崩壊」している編集者(『イン・ザ・プール』)、性器が勃ったままという奇病にかかったサラリーマン(『勃ちっぱなし』)、常にストーカー妄想がつきまとう女性(『コンパニオン』)、ケータイ中毒の高校生(『フレンズ』)、そして火の始末が気になるあまり生活に支障をきたすルポライター(『いてもたっても』)、など。
当然、皆が皆、藁にも縋る思いで伊良部のもとを訪れるわけですが、当の伊良部に患者を治そうとする姿勢が全く見られません。むしろ、不謹慎にも面白がってるフシがあるから悩める当事者としては堪ったもんじゃない。
それでも、ノーテンキな声で「毎日通ってねぇ~♪」言われちゃうと何故か逆らえないのが優柔不断なジャパニーズ気質。結局、伊良部に対する不信感が拭えないまま、せっせと病院通いが始まるわけですが・・・・。

本書は、いわゆる感動巨編とかそんな大袈裟なモノではありません。
どちらかというと、アホな伊良部と触れ合っていくうちに、心に抱えるモヤモヤがいつの間にか「笑い」に昇華されちゃうような、そんなユル~イ癒しを提供してくれる一冊です。でも、私にとっては、久々に「本」との出会いを実感した一冊でもありました。正直、本書でそれを実感するってのもかなり納得いかんのですけどね。(笑)
とにかく、「笑い」に飢えてるとき、またはネガティブモードの時に最適だと思います。腹が捩れるほど笑わせてくれる一冊も、ときには必要ではないでしょうか。
オ・ス・ス・メ♪
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by marienkind | 2006-04-03 20:39 | 書評