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心に残った映画や読書の記録。日々の備忘録のようなモノ。【ブログ管理人:小夏】


by 小夏
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カテゴリ:書評( 57 )



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再読。初読みは去年だったんだけど、ちょっと確認したいことがあってページ捲っていたら、結局全部読んじゃったという。

これはやっぱり凄いよ。
パンデミックものかと思ってたら、まさかのアレ。恐れ入りました。
もともと映画監督志望だったというだけあって文章が映像的で世界観に没入しやすかったというのもあると思うけど、圧倒的な知識量にも改めて驚かされました。

映画化も期待されているようだけど、うーん、どーなんだろ。
「小説形式だからこそ描けた部分~云々」とは高野氏談ですが、確かに倫理に抵触しそうなシーンてんこ盛りだし、それ以上に、技術的に今の邦画レベルでは無理っぽいかな。
まあ、映画化の話は置いといても、エンタメ小説として極上の一品であることは間違いないので、未読の方にはぜひ一読して頂きたいですね。

本・読書


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by marienkind | 2015-01-28 10:16 | 書評

書店にいくたびパラパラっと立ち読みしては「読みにくそう~」と躊躇していたのですが、やっぱり気になって図書館で借りてきました。
上中下巻、イッキ読み。

ちなみに、タイトルは「からの境界」と読みます。
その意味については、読み進めればわかると思います、多分。

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交通事故に遭い、二年間の昏睡後目覚めた「両儀 式(りょうぎ しき)」。
「モノの”死”」を視(み)る能力を獲得した彼女は、内に秘めた殺人衝動を抑えつつ・・・

と、端折りまくりの大雑把あらすじを語ってみたものの、上中下巻で時系列はバラバラ、エピソードによって視点も変わるので、最初の何章かは読みにくさと格闘すること必至かと。しかし、それを差っ引いても、読了後の清々しさと切なさは一読の価値ありでしょう。
「真相」を知って、マジ泣きしそうになったラブストーリーは初めてです。
・・・ラブストーリーだよね、これ?

とりあえず、

「式」と「織」、2つの人格
「直死の魔眼」
「魔術師」
「死の蒐集家」
「統一言語師(マスター・オブ・バベル)」


などの中二病的キーワードがこれでもか!とばかりに畳みかけてくるので、この段階ですでに拒否反応を覚えた方に本書はお薦めしません。

本・読書

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by marienkind | 2015-01-22 19:46 | 書評

中山七里さん、今まで全く馴染みのない作家さんでしたが、『さよならドビュッシー』の著者と聞いて、「ああ、そうだったか!」と思い至りました。『~ドビュッシー』、読んでないけどね。

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凄腕だが高額報酬を要求する悪徳弁護士、御子柴礼司。
読む前は、弁護士が主人公とのことで丁々発止のやり取りが繰り広げられる法廷ミステリーをイメージしていたのですが、予想の斜め上を行っていて度肝を抜かれてしまった。
特に衝撃的だったのが、御子柴が少年時代に関わった事件についての下り。一連の描写が、現実に起こった「某事件」をまんま模しているようで、「これ大丈夫なの?」と内心ヒヤヒヤものでした。
あくまで「フィクション」と捉えればいいのだろうけど、でもねぇ。

あと、最後までモヤモヤしたのが「死体遺棄」について思いっきりスル―されていたこと。
続編もあるみたいで、あるいは後日談として語られるのかもしれないけど、謎や疑問は次回持ち越しせずに本編で決着つけてほしいかな。
「傑作」との評価も頷ける面白さだっただけに、そこだけ残念。

本・読書

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by marienkind | 2014-05-28 20:00 | 書評

「どんな作戦でいく?」
「問答無用でぶっ殺す。それしかない」



c0046869_1174028.jpg『このミス2014年版』海外編第4位、その他ミステリー系雑誌でも上位ランクイン作品。
とはいえ、全く知らない作家だったのでwikiってみたところ、「オレゴン文学賞」「ロジャース文芸財団小説賞」「総督文学賞」「スティーヴン・リーコック・ユーモア賞受賞作」、そして「ブッカー賞最終候補作」と、賞?なにそれオイシイの?ってくらい総なめ状態だった。賞の価値についてはさっぱりだけど。

で、それほど有名っぽい作品なのに予約待ちゼロ、ラッキー♪とばかりに早速図書館から借りてきた。
でもこれ、全然ミステリーじゃなくね?どちらかといえばロードノヴェル?むしろアホ兄弟の珍道中記?
何ゆえ『このミス』なのだ?創元社だから?(笑)

まあ、そんな話はさて置き、とても楽しめました。
殺し屋ブラザーズだけあって描写はきっちり残酷だし、悲惨な展開に気持ちがざわつくこともあったけど、弟イーライののほほ~んとした語り口のズッコケ具合が程良くバランスを保っていたと思う。
ハッピーなラストに思わずニンマリ、「希望」を感じさせる読後感は好きだ。
そして、本書最大の功労者は間違いなくダメダメ馬の「タブ」。


内容(「BOOK」データベースより)
粗野で狡賢い、冷血漢の兄・チャーリー。ふだんは心優しいけれど、切れると大変なことになる弟・イーライ。悪名轟く凄腕の殺し屋シスターズ兄弟は、雇い主の“提督”に命じられ、ある山師を消しにサンフランシスコへと旅立つ。兄弟は何に出遭い、何を得て、そして何を失うのか?
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by marienkind | 2014-03-26 20:07 | 書評

「人が闘うのは生きるためです。
それ以外の闘いは人が選んでするもの。
しなければならない闘いではない」


c0046869_21194426.jpgスウェーデン警察小説「刑事ヴァランダー」シリーズ第2弾。

ラトビアがバルト三国の一つ、ということは漠然と知っていても、位置を正確に指し示せる日本人は多くないであろう。本書を読んで、ラトビアがバルト海を挟んでスウェーデンと隣り合わせだということを初めて知った。
それだけでも収穫かもしれない。(笑)

さて、今回の舞台はラトビアの首都リガ。名目上「捜査のため」と言いつつ、本音は「惚れた女のため」に国境超えまでしてしまうヴァランダー刑事。熱い男である。
内容もずいぶん様変わりしている。前作の「堅実」路線から一転、「これ、どんな007?」と言わんばかりの展開。
前作が作品としてあまりに地味だったから、その反動か?あるいは、まだシリーズ序盤ということで作者自身、手探り状態なのかわからないが、ちょっとばかり面食らってしまったというのが正直なところ。
それでも、東西冷戦終結間近の東欧諸国の混沌とした雰囲気などが丁寧に語られていて、その点は好印象。当時の社会情勢の一端を知る意味でも良い勉強になった。

そして、今回もやってくれました。
「絶体絶命時に必ず便意をもよおす主人公」(←前作でも類似シーンあり)
生理現象ゆえ仕方ないとフォローしたいが、敵組織のゴミ箱に致してしまうというのはどーなの?
とにかく、シリーズを重ねるごとにヴァランダーのヘタレっぷりに拍車がかかっているのは間違いない。自ら厄介事に飛び込み、周囲を巻き込む暴走モードも相変わらず。
前作同様、はた迷惑な男である。


内容(「BOOK」データベースより)
スウェーデン南部の海岸に、一艘のゴムボートが流れ着いた。その中には、高級なスーツを身につけた二人の男の射殺死体が抱き合うように横たわっていた。彼らはいったい何者なのか? どうやら海の向こう、ソ連か東欧の人間らしいのだが…。小さな田舎町の刑事ヴァランダーは、この国境を超えた事件に思いもよらぬ形で深入りすることになるのだった。注目のシリーズ第二弾。
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by marienkind | 2013-03-23 09:10 | 書評

「警官になったことを後悔したことはあるか?」
「決して。一度も。」



c0046869_1194459.jpgスウェーデンの警察小説「刑事ヴァランダー」シリーズ第一弾。CSミステリチャンネルやWOWOWでドラマ化されているので、ご存知の方も多いかも。

主人公のヴァランダーは、いわゆる「できる男」ではない。
実直で仕事熱心だが、メンタル的に著しく打たれ弱いタイプのバツイチ男である。
ドラマではケネス・ブラナーが演じており、「実直」は大人の落ち着きに、「メンタル面の弱さ」は母性本能をくすぐる要素となり得たが、原作の本書では、「女々しい」側面が強い。
そのくせ、無駄に溢れる正義感気質が災いし、時に暴走、失態も多い。憎めないが難儀なヤツである。

時代背景がパソコンや携帯電話が普及していない90年代初頭なので、「捜査は足で稼げ」とばかりに地べたを這い回るような捜査が全編を占める。けれど、そこがいい。
過激な描写やハードな展開に慣れ親しんだ読者には一見「地味」に映るかもしれないが、コツコツ地道な捜査を重ねて真相に至る過程が丁寧に描かれた良作だと思う。
10作品中2作品が未翻訳なものの、シリーズとして完結しているのも嬉しい。


内容(「BOOK」データベースより)
雪の予感がする早朝、小さな村から異変を告げる急報が入った。
駆けつけた刑事を待っていたのは、凄惨な光景だった。無惨な傷を負って男は死亡、虫の息だった女も「外国の」と言い残して息をひきとる。地方の片隅で静かに暮らしていた老夫婦を、誰がかくも残虐に殺したのか?イースタ署の面々が必死の捜査を開始する。
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by marienkind | 2013-03-21 13:42 | 書評

「わからないね。
自分たちの記憶にあるもののどこまでが想像の産物で、
どこからが現実なのか」



c0046869_2059218.jpg最近の池澤夏樹氏の功績でまず思い浮かぶのは、河出書房版「世界文学全集」を個人編集したことだろう。
私も、その中から数冊チョイスして読んだが、肝心のご本人の小説を一冊も読んでいないことに思い至り(エッセイは2冊既読)、今回、年末年始の長期休暇を利用して読んでみることにした。
単行本で全535頁、重さもずっしり。
正直、「詰み」そうな予感も無きにしも非ずだったが、予想に反してあっという間に読み終えてしまった。

さて、マシアス・ギリはなぜ失脚するに至ったか。

あらすじの印象から「バス失踪事件に始まる大統領の失脚ストーリー」と思って読み始めたら、意思を持つバスとか、主人公の心の友が亡霊とか、初っ端から「ありえねー!」な展開目白押し。予想外の寓話的切り口に、正直、最初は戸惑った。
けれど、「その世界ではそれが普通なのだ」と受け入れてからは、自然にその不可思議ワールドに浸ることができた。寓話的ではあっても荒唐無稽というわけではない。古い風習や迷信、言霊思想が根付くお国柄の日本人なら、それほど違和感なく読めるのではないかと思う。
何にせよ面白いことに変わりはないのだ。
久しぶりに美しい「ものがたり」を堪能させてもらった。
お腹いっぱい、胸いっぱいである。

内容(「BOOK」データベースより)
南洋の島国ナビダード民主共和国。
日本とのパイプを背景に大統領に上りつめ、政敵もないマシアス・ギリはすべてを掌中に収めたかにみえた。日本からの慰霊団47人を乗せたバスが忽然と消えるまでは…。
善良な島民たちの間でとびかう噂、おしゃべりな亡霊、妖しい高級娼館、巫女の霊力。それらを超える大きな何かが大統領を呑み込む。豊かな物語空間を紡ぎだす傑作長編。
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by marienkind | 2013-01-09 16:26 | 書評

c0046869_119593.jpg初・米澤穂信!

導入部が露骨に『バトルロワイヤル』テイストだったり、映画版主演が藤原竜也サンだったり、なにこれ?マジでバトロワのパクリですか?と思ってしまったが、蓋を開けてみたら全くの別モノだった。
まあ、両者ともS.キングの『死のロングウォーク』にインスピレーションを受けたと公言しているし、シチュ的な類似点があって当然っちゃ当然か。
とりあえず、『バトル~』がバイオレンス系なら、本書は典型的クローズド・サークル系といえる。

ちなみに、この妙ちくりんなタイトル『インシテミル』。
“INしてみる”とか、表紙の英語表記“THE INCITE MILL”(唆す~、扇動する~)など、いろいろ解釈できそうだが、もともとの仮題が『淫してみる』なので、単にそれをカナ表記にしたというのが本命か。
とはいえ、どの意味を採用したとしても(INする、唆す、淫する)内容的にすんなり合致してしまうのはさすがのセンス。森博嗣氏のかつての著書『封印再度』“WHO INSIDE”の言葉遊びにも唸ったものだが、あれといい勝負ではなかろうか。

なにはともあれ、ミステリ好きなら読むべき一冊。
かなり面白いのでお薦めですよ。
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by marienkind | 2011-01-20 17:02 | 書評

c0046869_10284324.jpg西尾維新=NISIOISIN
おおおおっ!これ回文になってるやん!すごーい!
とひそかに独り喜んでいたら、すでにWikiに載っていた。

それはそうと。
ついこの間まで、たぶん一生読むことはないだろうな、と思っていた作家が2名。
一人目が村上春樹、二人目が西尾維新。
前者は単なる苦手意識。後者は露骨に“萌え系”を狙った感のある表紙画にちょい引き。
それが先日、村上春樹をさくっとクリアしたことで、それなら西尾維新も余裕じゃん?と調子こいて読んでみた。

感想は、けっこう普通のミステリだな、と。(褒めてます)

まず、本書が「孤島」を舞台にした「密室首斬り殺人事件」と言う点。
この「いかにもベタなミステリです」設定が素晴らしい。叙述トリックらしきオチも、騙し具合が程よく好みで宜し。(最初から「騙そう」という意図が見えると萎えてしまう)
確かに、濃いキャラ造形をはじめとするマンガ&ゲーム的ノリに好みが分かれるところだとは思うが、ミステリ&エンタメ同時に美味しく堪能できるという意味では、むしろ従来のミステリファンに強くプッシュしたいところ。
とりあえず、「うにー♪(口癖)」「僕様ちゃん♪(一人称)」などのワードに拒否反応を示さない人なら、読破可能と思われ。
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by marienkind | 2010-08-09 15:40 | 書評

初・村上春樹である。今まで幾度となく手を出しながら、どれも読了叶わなかったわけだから、正確には、初読了・村上春樹と言うべきか。

「世界の終り」「ハードボイルド・ワンダーランド」で構成された二つの世界。
前者は、高い壁に囲まれた閉ざされた世界であり、そこに足を踏み入れた者は自分の<影>と切り離される。「僕」は、そこで<一角獣>の頭骨から「夢を読む」仕事が与えられる。
後者の主人公は、<計算士>の「私」。自らの潜在意識にアクセスする数値変換術<シャフリング>を巡り、日々、敵対組織<記号士>との情報戦が繰り広げられている。

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これは面白かったです。初めて「村上春樹作品を読んで良かった」と実感できた一冊でした。
とはいえ、「具体的にどう面白かったか」については、どう答えたらいいものやら。
100人の読者がいれば100通りの解釈が出来そうだし、それ以前に、自分が正確に内容を把握できているかも怪しい。一読しただけで完璧に理解できるようなシロモノじゃないですから、これ。
それでも面白く読めたのは、読んでいて心地良い「文章」であったこと、これに尽きます。
とはいえ、今までずっと、村上流独特な言い回しが苦手で「ダメだ、こりゃ」を言い続けてたわけだから、我ながら勝手な言い草だと思うけど、「読むに時期があり」の一冊ってあるものです。まさに本書がそうだったんだな、と。
まあ、自分がここでウダウダ説明せずとも天下の村上春樹、読んでいる人は遥か昔にちゃっちゃと読破されているだろうし、自分でも「何を今さら」という気がしないでもないのですが、私のブログに足を運んで下さっている皆さまのほとんどは絶対未読のはず。(どーゆー意味じゃ!笑)
なので、こっそりお薦めしつつ・・

あっ!今日はエイプリルフールですが、お薦め本ってのは嘘じゃないですからねっ!
一応、念のため。(笑)
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by marienkind | 2010-04-01 12:45 | 書評