著者: 三浦 しをん
出版: 角川文庫
私にしては、めずらしく表紙イラストの可愛らしさ“だけ”で買ってしまった本。CDで言うところの、いわゆる「ジャケ買い」ってヤツですな。
彼女の作品については、書店でエッセイを何冊か手に取った程度だったにもかかわらず(すぐさま棚に戻すレベル)、何の根拠もなく“甘っちょろい作風”というイメージを勝手に抱いてた失礼極まりない私だったのですが、甘っちょろいどころか硬質も硬質、私の予想など遥かに超えたへヴィーな内容にガツンとやられてしまったのでした。
【STORY】
かつての幼馴染み、古本屋を営む真志喜と古本の卸を生業とする瀬名垣の2人が、過去に犯した過ちを通して、互いに、そして、自らの心の傷とそれぞれが対峙していく物語。
主人公2人の間にわだかまる葛藤や両者の距離感、微妙な温度差など、読書中、妙なくすぐったさと居心地の悪さを感じてしまう作品でした。そもそもこんな「愁いオーラ」を全身に纏ったような殿方がいるわけないっしょ!、、、のツッコミはさて置き。心の傷を容赦なく抉り出してくる著者の切り口の鮮やかさに時間を忘れて読みふけってしまったのだけど、蓋を開けてみればなんとまあ、行間からじわりじわりと零れ落ちてくる「真実」のさり気なくも過激なことよ。
あくまで“さり気なく”に徹しているところがミソであって、こういうモノは露骨じゃないからこそ無駄に妄想逞しくなるってもの。この点、本書を冷静に眺めれば、かなり個人的趣味に左右される作品であることは間違いないのだろうけど、三浦しをん女史の綴る瑞々しく艶やかな活字マジックゆえか、ゆるりまったりと繰り広げられる本書のめくるめくワールドに心地よく翻弄され、激しく狼狽しつつも胸ときめかせてしまった小夏さんだったのでありました。いやはや、いやはや、、、。
(2006年10月28日読了)
【オマケ】
第135回直木賞受賞作の『まほろ駅前多田便利軒』(三浦しをん著)が一緒に陳列されておりました。こちらは単行本で1600円、さすがに買わずに帰宅したのですが、この本もなかなか良さげでして、ジャケ買いならぬ、挿画買い?したくなってしもた。中に描かれている男たちのイラストが個人的にごっつう好みなのですよ。ええ、見事にツボ。
出版: 角川文庫
私にしては、めずらしく表紙イラストの可愛らしさ“だけ”で買ってしまった本。CDで言うところの、いわゆる「ジャケ買い」ってヤツですな。
彼女の作品については、書店でエッセイを何冊か手に取った程度だったにもかかわらず(すぐさま棚に戻すレベル)、何の根拠もなく“甘っちょろい作風”というイメージを勝手に抱いてた失礼極まりない私だったのですが、甘っちょろいどころか硬質も硬質、私の予想など遥かに超えたへヴィーな内容にガツンとやられてしまったのでした。
【STORY】
かつての幼馴染み、古本屋を営む真志喜と古本の卸を生業とする瀬名垣の2人が、過去に犯した過ちを通して、互いに、そして、自らの心の傷とそれぞれが対峙していく物語。
主人公2人の間にわだかまる葛藤や両者の距離感、微妙な温度差など、読書中、妙なくすぐったさと居心地の悪さを感じてしまう作品でした。そもそもこんな「愁いオーラ」を全身に纏ったような殿方がいるわけないっしょ!、、、のツッコミはさて置き。心の傷を容赦なく抉り出してくる著者の切り口の鮮やかさに時間を忘れて読みふけってしまったのだけど、蓋を開けてみればなんとまあ、行間からじわりじわりと零れ落ちてくる「真実」のさり気なくも過激なことよ。
あくまで“さり気なく”に徹しているところがミソであって、こういうモノは露骨じゃないからこそ無駄に妄想逞しくなるってもの。この点、本書を冷静に眺めれば、かなり個人的趣味に左右される作品であることは間違いないのだろうけど、三浦しをん女史の綴る瑞々しく艶やかな活字マジックゆえか、ゆるりまったりと繰り広げられる本書のめくるめくワールドに心地よく翻弄され、激しく狼狽しつつも胸ときめかせてしまった小夏さんだったのでありました。いやはや、いやはや、、、。
(2006年10月28日読了)
【オマケ】
第135回直木賞受賞作の『まほろ駅前多田便利軒』(三浦しをん著)が一緒に陳列されておりました。こちらは単行本で1600円、さすがに買わずに帰宅したのですが、この本もなかなか良さげでして、ジャケ買いならぬ、挿画買い?したくなってしもた。中に描かれている男たちのイラストが個人的にごっつう好みなのですよ。ええ、見事にツボ。